今日のイラストは7代目、市川染五郎さん 忘れようと、 忘れ果てようとしても、 忘れられるものではございません あれは十四、五の ほのか照れ隠し ふたりで歩こうと決めた 川ではないけど いつのまにここに いつのまによそに 水玉模様の僕は 両手をふり返す ただとおりすぎただけ 君がまわるため どこ吹いた風でした くるり かざぐるま DVDで「蝉しぐれ」を観ました。 ご存知、藤沢周平さんはすでにお亡くなりになられています。 この映画は藤沢さんに捧げられています。 NHKでTVドラマが放送されているようですね。 さすがに、ドラマはじっくりと原作を描いているのでしょうか、いろんなところでコメントを書いてあるものをみると、原作からはしょり過ぎとか、映画にするべきじゃない、などを目にしましたが、おいらがこの映画を観る限り、良い出来だったと思います。 脚本もしっかり出来ているし、映画の前半は少年時代、そして後半は成人してからと、はっきり別けてあり、時の流れを映画的にすっぱりとしています。 決して悪い意味ではありません。 この思い切りが映画の善し悪しを左右します。 だって、映画ですから、じっくり味わいたければ原作本なり、TVドラマなりを観ればいいのではないでしょうか。 文句のあるヤツは、そうしてください。 監督の黒土三男さんはTVの脚本も書かれています。 この題材は監督が15年もの間、暖め続けていたものらしいですが、原作者の藤沢さんに映画化の話を持ちかけた時に「この長い話を映画にするのは無理でしょう」って言われたそうです。 で、TVドラマとなったわけなのでしょうが、それでもやっぱり映画にしたい。そりゃ、TVと映画では格が違います。TVをバカにするわけではないのですが、TVドラマはお金もかかっていない分、少し使い捨てのような感じで、映画は後世にしっかり残ります。 それは、やはりお金をかけて短い時間に物語を閉じこめているからなのでしょう。手軽にみるコトが出来ますからね。TVは1話完結でない限り、全部観なくてはなりません。話題の「24」なんか、24時間かけないと、すべてが解らないでしょう。どうしても無理があります。一部のコレクターにはその方が良いのでしょうけど。 そこまでオタクな人は少ないので、そこで足踏みするより、他にも観たいってのが本音です。 黒土三男監督は、藤沢さんに映画化のコトで脚本をお渡しされたそうです。それが、この映画の脚本だとか。 この脚本は、藤沢さんのお墨付きのようなものでしょうか。 「映画は無理でしょう」って言っておられたのが、一変。「素晴らしいですね、映画を観るのが楽しみです」とまで言わしめたらしいです。って書いていますが、人から聞いた話なので、自分が横にいたわけではないです。(当たり前やけど) しかし、藤沢さんは映画の完成を観ないまま(ましてやTVドラマも)お亡くなりになられました。 それから来年で10年になります。 映画の中で、一青窈さんの「かざぐるま」は流れませんが、この曲がいい雰囲気を出しています。予告編では、この曲のおかげで泣かされそうになります。 本編にあったら泣いてしまっていることでしょうが、ないので、結構清々しくみるコトが出来ます。 文四郎とふくの淡い初恋の物語。 こういう純愛は、日本にはないのでしょうね。美しい日本の風景とともに、遙か過去のものとなってしまった感じです。美しい心が宿る国、四季折々の風景が日本を言い表しているかのような映像美。 それだけでも観る価値があるのですが、それにしっかりした物語とリアルな侍の描き方が相まって、素晴らしいものになっています。 山田洋次監督の「隠し剣 鬼の爪」も観たのですが、同じ時間なのに、こちらの方がテンポよく、時間が短く感じられました。 この映画、市川染五郎さんと木村佳乃さんの映画ではないのは確かです。ふたりの役者がメインではなく、牧文四郎とふくのお話しなのです。だから、前半は彼らの若い時なので、染五郎さんも佳乃さんも出て来ません。彼らを目当てで観てはコケるでしょうが…アイドル目当てのそういう映画ではないので気をつけてくださいな。 しかし、このふたり、凛とした雰囲気で日本の武家って感じが良くでていますね。染五郎さんは歌舞伎役者なので当然なんでしょうが、佳乃さんの気高さが自然とでているところには、ビックリモノです。真実味が何倍にも膨れ上がります。 江戸時代、侍は戦を全く知りません。人を斬ったことなどないのが普通でした。だから、彼らは人を斬って腰をぬかしたりするんですね。すっかり腰をぬかす文四郎の友人逸平がふかわりょうさんと気付かずにこの辺まで観ていました。(汗) 人を斬った刀は刃こぼれを起こしたり、折れたりするってことは知っていても、実戦を経験したコトがない。そうのコトがとても現実的。あえてリアルとは使わないでおきます。侍でも戦国時代の人とは全く人種が違います。そういう初歩的な部分を知らないで、おかしいとかいう感想の人達は、もう、映画とか本とか、そういうものを観るチカラがないというか、間抜けもいいトコロって感じですね。 ラスト、船で横たわる文四郎の男泣き…嗚呼、切ないね。お侍さんだから、今とは違いますもんね。 この映画も「ダ・ヴィンチ・コード」のごとく「原作の方が…」っていう人が多いコト。でも、原作が大好きな知り合いに聞いたら「原作通りで、なんの文句もつけようがない」って言っていたので、知り合いの話の方が正しいような気がします。それに、藤沢さん自身が認めた脚本なんですから、間違いないでしょう。 おいらが観ても、清々しい思いの出来た時代劇だったしね。もう一度観たくなる日本映画では珍しい一本です。 よく考えたら、松本家の兄「蝉しぐれ」妹「隠し剣 鬼の爪」を観たコトになるんだなぁ | ![]() 日本人の気高さ:A++ |
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2006年 6月7日
蝉しぐれ
20:37, Wednesday, Jun 07, 2006 ¦ 固定リンク





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